
気管支喘息に対する抗体製剤
気管支喘息に対する抗体製剤
私たちの体にウイルスや細菌などの病原体が侵入すると、その異物(抗原)を攻撃するために、免疫細胞から抗体が作られます。抗体はある特定の抗原のみを認識して抑え込みます。
抗体製剤はこの抗体の仕組みを応用して、体内の特定のタンパク質の働きを抑え、病気の症状を抑えるお薬です。もともとはリウマチやがん治療などさまざまな疾患の治療に使われてきましたが、近年では気管支喘息やアレルギー疾患にも応用されるようになりました。
気管支喘息は、気道に慢性的な炎症が起こることで、咳や息苦しさ、発作を引き起こす病気です。この炎症には免疫細胞や特定のタンパク質(サイトカイン)が関わっており、気管支喘息に対する抗体製剤は、それらの働きを抑えることで炎症を軽減し、症状を和らげます。
喘息のタイプによって、適した抗体製剤が選ばれます。代表的なものとして、以下のような種類があります。
IgE抗体(アレルギー反応に関与する免疫グロブリン)の量が高く、アレルゲン感作が確認されているアレルギー性喘息の患者さんが対象です。
Th2型炎症に関連する好酸球(白血球の一種)が増えるタイプの喘息(好酸球性喘息)の患者さんが対象です。
Th2型炎症に関連する好酸球性・アレルギー性喘息の患者さんが対象です。
好酸球やIgE抗体の増加がみられない非アレルギー性喘息にも適応があり、幅広い喘息患者さんが対象です。アレルギーの有無に関わらず適応があり、他の抗体製剤の適応とならない患者さんにも選択肢となります。
これらの薬剤は、炎症を引き起こす原因に直接働きかけ、喘息のコントロールを改善します。
※Th2型炎症とは:
特定の免疫反応が過剰に働くことで起こる炎症のことです。特にアレルギーや好酸球(白血球の一種)が関係する喘息に多く見られます。吸入薬だけでは炎症を十分に抑えられないことがあるため、抗体製剤が効果的な場合があります。
以下のような方が、抗体製剤の治療対象となる可能性があります。
✅ 吸入ステロイドや内服薬を使っても症状が十分にコントロールできない
✅ 年に何度も喘息発作を起こし、救急受診や入院を経験している
✅ 内服のステロイド使用しており、減らすと症状が悪化する(ステロイド依存性喘息)
抗体製剤は、患者さん一人ひとりの喘息のタイプに応じて処方されるため、詳しい検査や診察が必要です。
抗体製剤は、通常1〜2か月に1回の注射で投与されます。副作用は少ないとされていますが、注射部位の腫れやアレルギー反応が起こることもあるため、医師の管理のもとで治療を行います。
また、抗体製剤は即効性があるわけではなく、数週間〜数か月かけて徐々に効果が現れます。そのため、治療を開始してすぐに薬をやめるのではなく、継続的な経過観察が大切です。
「今の治療で喘息の症状がなかなか良くならない」「抗体製剤の治療が自分に合うか知りたい」という方は、お気軽にご相談ください。
当院では近隣の基幹病院と連携して、抗体製剤の導入や継続を行っています。
一部の抗体製剤では、自己注射が可能なものもあり、通院の負担を軽減できます。患者さん一人ひとりのライフスタイルに合わせた治療を提供できればと考えております。喘息のコントロールを改善し、より快適な日常生活を送れるようサポートいたします。どうぞお気軽にお問い合わせください。
風邪症状で受診希望の方へ
発熱、せき、のどの痛み、倦怠感など、
風邪症状で受診を希望される方は、
コロナ抗原検査を行った上で
電話045-333-5070でご相談ください。
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お断りする場合があります。